自然の目印を使って砂漠を進む方法

砂漠では道しるべや地図が使えない状況がある。そんなとき、自然の特徴を頼りに進む方法を知っていれば命を守れる。ここでは、砂漠で方向を見失わないために活用できる自然の目印について解説する。
太陽を使った方角の特定
太陽は日中に最も信頼できる自然の目印となる。
午前中
- 太陽は東の空にあり、影は西側に伸びる。
- 影を背にすればおおよそ東を向いている。
正午前後
- 太陽は頭上にあり影は最も短くなる。
- 南半球か北半球かで太陽の位置が異なるが、北半球なら南の空に見える。
午後
- 太陽は西に沈み始め、影は東へ伸びる。
- 太陽を左にすればおおよそ北を向いている。
星を使った夜間の進行方向確認
夜になると星が最も頼りになる。
北極星
- 北半球の砂漠で使える。
- 北斗七星のひしゃくの先端2つを直線で5倍伸ばすと見つかる。
- 北極星が見えた方向が真北。
南十字星
- 南半球で使える。
- 南十字の縦軸を4.5倍伸ばした先が南の方角。
地形と風の痕跡の読み取り方
風と地形は、地表に方向のヒントを残している。
砂丘の形状
- 砂丘は風の影響で形成される。
- 風上側はなだらか、風下側は急斜面になる。
- 風下側が連続している方向が風の向きとおおよそ一致。
風紋(風によってできる砂の波)
- 一方向に並ぶ波模様は、一定方向から吹いた風の証。
- 波の切れ目や非対称性から風の向きが分かる。
動植物の手がかりを活かす
生き物の行動も方角のヒントになる。
サボテンや木の成長
- 一部の植物は太陽光に向かって育つ。
- 北半球では、植物の葉や枝が南側に偏りがち。
動物の足跡
- 足跡の多くは水場に向かっている。
- 足跡の交差点はルートのヒントになるが、古い痕跡には注意。
鳥の飛行パターン
鳥は日中に水場へ向かうことが多く、夕方には寝床へ戻る。
- 早朝に飛び立つ方向は水源の方角。
- 夕方に戻る方向は安全な休息地。
観察して数時間パターンを掴めば、有力な移動情報になる。
太陽時計の即席作成
道具がなくても木の枝一本で簡易太陽時計を作れる。
手順
- 真っ直ぐな棒を地面に垂直に立てる。
- 影の先に石を置く。
- 約15分待ち、新たな影の先にも石を置く。
- 2つの石を線で結ぶと、線が東西方向。
- 1つ目の石側が西、2つ目が東。
これで即席の方位が得られる。
熱や風の体感も利用可能
日中の太陽の位置や風の肌感も判断材料となる。
- 午前中の風は比較的冷たく、午後になると熱を帯びる。
- 日が沈むとすぐに気温が下がるので、寒暖の変化でも時間帯を知る手がかりになる。
地平線と地形の変化を読む
遠くの地平線に見える地形の違いにも注目。
- 連なる山並みは進行方向の障害になる。
- 光の反射が強く、波のように揺れて見える地点は蜃気楼。水ではない。
- 地形の凹みに小さな植物がある場合、水脈が近い可能性もある。
シンプルなルールまとめ
覚えておきたい基本原則
- 太陽は東から西へ動く。
- 影は常に太陽と反対側にできる。
- 北極星は北、南十字星は南。
- 砂丘の風下側は風の方向。
- 鳥の飛ぶ方向は水源や安全地帯。
- 植物は太陽方向へ成長する傾向がある。
不確かな状況での行動指針
- 無理に直進しない。
- 高所を見つけて周囲の地形を観察。
- 日中は行動を避け、夜間に動く方が体力を保てる。
- 水源の痕跡があれば慎重にたどる。
- 同じ地形を何度も見たときは円を描いている可能性がある。
砂漠では、人工の目印に頼るのは限界がある。自然のサインを正確に読む力が、自らの命を守る。静かに、しかし確実に自然を読むことが最善の行動につながる。